1991-1995年 天気図集成
日本気象協会 編 B5 188頁
定価5,050円(本体4,810円)
月刊誌「気象」に掲載された“天気図日記”の5年間を集成し、毎日9時の天気図、天気・気圧配置などが説明されています。
巻末には年毎の気圧配置・現象別の詳細な索引を付しています。他に毎年の日本の天候の特徴、日本・世界の気象トピックスも掲載しています。
本書は天気や天気図に関心をもつ方に役立つ次に述べるような特色を持っています。
1)多年の天気図の索引的な案内役
気象関係者や気象に関心の深い方々の中には、新聞天気図を毎日切り抜いて、スクラップにはっている人が少なくありません。
実際問題としてはこの仕事を欠なく進めることは至難の業であり、スクラップも彪大になって扱いに厄介です。
本書はこうした手数を解消する過去天気図のコンパクトな集成であり、所要の天気を手軽に索出できるので、各種の調査に当って索引的な役割を果たします。
2)天気の推移を学べる
毎日の天気図を1カ月ごとに見開きに並べてあるので、高・低気圧や気圧の谷、前線などの消長や移動、変化を一連の現象としてみられます。
したがって、ある天候の下では時間の経過によって、どのような天気があらわれるかを例証的に学びとることができます。
ここにいう天気とは、ある時間内の空の状態を天候とは数日間つづくある特色をもった空模様をさしてのことばです。
3)天気図の型を覚えられる
天気はつねに千変万化する現象なので、人の顔が異なるように天気図も同一ということではありません。
しかし、毎年おなじ季節には似たような気圧配置があらわれ、似かよった空模様になることが少なくありません。
これには、たとえば“春一番”型とか、サツキ晴れ型とか、ツユあけ型、秋晴れ型、西高東低の冬型など、いくつかの基本型があります。
新聞やテレビの天気図を理解し活用するには、上述のような典型的な天気図型をよく承知している必要がありますが、本書はこれらの実例について覚えるのに最適な書籍となっております。
4)類似天気図の資料庫
類似した気圧配置には類似の天気が現われます。この経験則を応用して天気を予想する際の参考となるのが“類似天気図”です。
類似天気図があれば、あすの予想天気図を作るのにも役立ちますが、本書は類似天気図を求める人に豊富な資料庫となります。
“予想天気図”というのは、予想に相応する気圧配置を予想して描いたもので、NHKテレビが毎夕放送する天気予報番組などに「あすの天気」として出ています。
5)災害時の天気図もすぐ求められる
大きな台風や発達した低気圧、強い寒冷前線あるいは大陸高気圧の張り出しなどでおこった、強風・大雨・吹雪・大シケなど、大被害が出たときの天気図も容易に探し求められます。
なお、本書は1956年から1995年までの40年間の天気図を5年〜10年間の集成して発刊してきましたが、現在在庫があるのは標記の10年間(2冊)のみです。
6)実例で気象常識が得られる
実用的な気象常識、たとえば「ツユあけ十日」(ツユあけから10日ほどは、山でも雷が少なく、海も静かで、登山・海水浴日和がつづく)とか、「カミナリ三日」(盛夏のころ、ひとたび発雷すると翌日も翌々日も雷になる傾向がある)というような経験的に知られている知識や強い寒冷前線が通過する際おこる突風や気象急変などについての知識も一連の天気図によって、具体的に得ることが出来ます。
7)天候を主にした“日本の自然誌”
この本は天候・気象を中心にして記録された“日本の自然誌”でもあります。
この日記中に記される桜の開花、チョウや鳥の初見 セミの初鳴など動・植物の消息、また折にふれ出ている雪起し、黄砂、フェーン、しんきろう、幻日、あるいは、火山雷、火映現象などの事象は、ともにこの期間にみられた自然の記録です。
したがって、こうした生物季節や特殊現象の起日を知りたい方にも役立ち、これも索引によってすぐ探すことが出来ます。
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